じっくりガタガタまわしたスープ

どもどもどもども。やぁやぁやぁやぁ。
ニセ稲川淳二です。

今日はみなさん、この話を楽しんでってくださいよ。
背中がゾクーーーっとするでしょうけれど、まぁ聞いてみてくださいね。



これはね、かずたかさんの身に降りかかった話なんですけどね。えぇ。


ある朝、ねぼけながらかずたかさんは起きたんだ。
朝は強いはずなんだ。
でもこの日は前日に夜遅くまで本を読んでたせいもあってね、かずたかさんだいぶねぼけてたんだなぁ。

歯ブラシくわえてね、熊みたいにのそーーーっと動いてたんだ。


歯を磨きながらね、「今朝はスープでも飲むか」ってなもんで、戸棚からごそごそと粉末スープを取り出したんだねぇ。



その時!かずたかさんの頭の中をフーーーっとある記憶がよぎったんだ。



「朝起きたら、洗濯機まわしておいてね」

おふくろさんに言われたんだな、昨日。


それを思い出しましてね、寝ぼけ眼のまま洗濯機へのそーーーーっのそーーーーっと向かったんだ。


洗濯機に続くドアをギィィィって開けて、洗濯機に洗剤を入れて、スイッチを押したんだなぁ。えぇ。




それから数秒後。



うわぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ

かずたかさんは悲鳴にも似たひくーーい叫び声を上げたんだ。

入れちゃったんだなぁ、洗濯機に。
粉末スープを。


洗濯機に粉末スープを入れて、その前でスープかきまぜるためのスプーン持ってかずたかさんが立ってるんだ!
ありえない!ありえないんだそんなこと!
私ね、それに気付いた瞬間に思わず背中がゾクーーーっとしましたよ、えぇ。


でも恐怖はこれだけじゃなかったんだ。



………
聞こえるんだよ、足音が。

ギィッ ギィッ ギィッ……
かずたかさんは洗濯機の前で狼狽している。
誰かの足音が近づいてくるんだ。

かずたかさん、心の中で必死に思ったよ。
「やめてくれ、嘘だぁ。嘘だぁ。やめてくれ。こないでくれ。」

その瞬間、ドアがバーンと開いたんだ!
おふくろさんだったんだなぁ。

「ちゃんと回してくれたのね」なんて言って、おふくろさんがそこに立ってるんだ。

でもおふくろさん、かずたかさんの様子がおかしいのに気付いた。
手にはじっくりコトコト煮込んだスープの空き袋と、スープをかき混ぜるための柄の長いスプーン。




怒ったね。





かずたかさん、言ってましたよ。
「この歳になってあんなに頭ごなしの説教を受けるとは思わなかった。」ってね。

あるんですねぇ、こういう話。
いや、あるんだなこういうこと………えぇ………。